地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
いや空耳か!

そう思い、またコスモスを眺める。



「杏。」


また聞こえた。



というかですね。あたしのことを「杏」と呼ぶ人は一人しか居ないんですよ。

でも、その一人は絶対あたしの教室には来ないから、その人ではないもんね。


フムフムと一人で納得し、振り返ることはしない。




「今ここで、ご開帳されたいの?杏ちゃん?」


ピクッと耳が動いた。


いや…まさかいるはずはない。

あたしの教室には来たことないもん!



「喜んで開帳してあげるよ。西棟行こうか?」



いや……本物みたいです。

あの人以外に、こんなこと言う人居ないもんね。




コスモスから視線を外し、ゆっくりと後ろを振り向いた。
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