地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
………なんでいるんですか。


目の前にいる長身で学園の王子様…いや、俺様?を見上げる。



「何の用?」

「用がなかったら来ちゃいけないかな?」

「はい。来ないで下さい」

「・・・・・。」



ニコニコ王子様スマイルの彼にキッパリと告げて、またコスモスの観賞をしようとした。




「残念だなぁ…せっかく良いモノ持って来たのに」

「…………何?」


もう一度振り返ると、あたしにしか見えないようにニヤリッと笑う。



「杏が探してた小説のフランス語版」

「!?」


目の前にヒラヒラと、あたしが欲しかった小説を見せた。



「読みたい?」

「……………読みたい」

「どうぞ」


ニコッと微笑まれ、小説を差し出されるが―…




伸ばした手の平には、別のモノが乗せられる。
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