地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
――杏樹Side――


思い出した…前回、芸能界に潜入した時に出会ったモデルの人だ。


確か――…及川遥斗。

あたし達より二つ年上だったんだよね…。



「――…俺の杏樹、返してくれない?」


あたしが陸の背中に隠れているため、及川さんが陸を睨み付けている。


「………なんで?アンタの女じゃねーだろ。杏は俺のなんで」


ニコニコ笑って返し、あたしの頭を撫で下ろした。


陸さん……いつもの王子様口調が抜けてますよ?

本来の俺様口調になってるし…。




「やっぱり君達二人って付き合ってたんだ……仲良いとは思ってたけどね」


ため息交じりに漏らした及川さん。


「及川君…、杏ちゃんは諦めなさい。うちのバカ弟が宝物を手放すわけないわ」

フフ…と笑みを浮かべて咲さんがあたし達を見る。
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