地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
講堂を出て……西棟の裏まで来た。
悠には一人にしてくれるように頼み、周りには誰も居ない。
ブレザーのポケットから携帯を取り出す。
電話帳から“ある人”の番号を出して…電話をかけた。
『はい』
「もしもし?柚莉だけど」
『あぁ……久しぶり。』
「元気?」
『それなりに』
「……“あの件”は順調?」
『はい』
「そう………今日からよね」
『はい。柚莉さん、あの人のことをお願いします』
「もちろんよ。貴女の頼みだもの……こっちは任せなさい」
『ありがとうございます』
「……貴女が決めたことだもの。頑張りなさい…………」
静かに通話を切る。
ポケットに携帯をしまい、ゆっくりと講堂へと足を向けた。