地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
――祥Side――



『滝本社長…申し訳ありません。もう少し時間を下さい』

「…良いんだよ。私が無理に頼んだことだからね」

『しかし………』

「陸のことかい?…大丈夫だよ、そんなにヤワじゃないからね」

『………………』


そんなに気にしなくても良いのに…。

電話口の相手は、相当優しいため心を痛めているのだろう。



「…それでね、陸と楠財閥令嬢の婚約が決まった」

『……楠社長急がれましたね』

「あのお嬢様が、クリスマスイブに婚約パーティーを開きたいんだそうだ」

『……ということは12月24日ですか?』

「あぁ……その日までには慎重に頼むよ」

『かしこまりました』


静かに通話を切る。




「私の望みは、あの子達に幸せになってほしいだけなんだが……」


現実は甘くないし、簡単にもいかない。


どうしてだろうか…?
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