地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
杏に再会した翌朝―――。

もう一度鏡で自分の首筋を見たが―…昨夜と同じ場所に紅い花が咲いていた。



「…やっぱ夢じゃねーんだよな」




昨日の出来事は本物…。


だが…杏は…………。




そう考えただけで、また込み上げて来るものがある。

必死に抑え込んだ。



「陸様、朝食の支度が出来ました」

お手伝いさんが扉の向こうから声を掛けて来る。



『ご飯は無理にでも食べること!』

杏に言われたことを思い出した。


「………ありがとう。今から行くよ…」


食わなきゃ………また怒られそうだから。



しかし。

この日に食べた朝食は…砂ではなかった。


ちゃんと味がした。


杏の味が―――……。
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