地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
どうしてと聞かれても―…


単に『美味かったから』




「…滝本様へのコーヒーには、煎れ方にコツがあるんですよ。お嬢様は好きな殿方の好みも知らなかったんですか?」

「…………」

「そんなんで良く婚約者になりたいと言えますね?」

「………ッ……」

「大体…犯罪を犯しておいて、婚約会見なんて開けるわけじゃない。貴女の方が大馬鹿者だっての」



マイク越しに話す彼女の声は、会場中に響いていた。



「脱税……不正取引……それに薬物所持まで……ホントに楠財閥堕ちてるよ」


「薬物所持?」



俺が聞き返すと、一度点いた照明が再び消え……スクリーンに一枚の写真が映し出される。




「えっ…………!?」



自分の目を疑った。
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