地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ


『杏ちゃん……すまないが、あのバカ息子のために食事を作ってくれないか?』

『わかりました………毎食は無理なので、夕食だけなら……』

『ありがとう……忙しいのに悪いね』

『いいえ。大丈夫ですよ』



祥お父様の頼みを断ることなんて出来ないし、大体あたしが心配になってしまった。


今は絶対に種明かしは出来ない。



陸にはもう少し待っていてもらわないと………。




だけど―――、食事も喉を通らない程に、あたしって陸から大切に思われてたんだと思い、不謹慎かもしれないけど…嬉しくて堪らなかった。





翌日から、昼間は陸の夕食作りに行くようになった。


朝に一度学校へ行き、午前中の授業を受ける。

昼休みになると、人気のないところで式を作り、交代。
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