泣き虫少女と強がり少年
「俺の居ない所で勝手に俺の話すんな、ブス!」

西野はそう言うと、べっと舌を出した。
…いつもの事ながら、腹立つーっ!!


「何よ、西野! いつから私の後ろにいたの!?」

「んと、中川が『西野は多分…』って言った所から」

うわぁ最悪、と私は悪態をついた。
一番聞かれたくない部分を聞かれていた様だ。

西野は、そのスラッとした身体を美久に向けて、
私に何も悪びれず、

「あり得ないし、キモいから!」

と笑顔で言った。
美久は「あー…」と何とも言えない表情で固まる。
私は、「お前に言われたくない!」と心の中で叫んだ。


「そんじゃ、もう変な話すんなよ」

と、西野は去ってしまった。

「……美久、これが現実だよ。…どう?」

「どう? って聞かれても……」

美久の表情は、相変わらずだった。

私は西野の小さくなってゆく背中を見つめながら、
というより睨みつけながら、
本日三回目のため息を吐いた。



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