泣き虫少女と強がり少年
「…ほら、私の言った通りでしょ?」

「何が」

「普通好きな女の子に、ブスとかキモいとか言わないって。
 バーカ、とかはあるかもしれないけど…」

「いやぁ…それは漫画の中の、ひかるの妄想の中の世界でしょ。
 現実は、案外そうでもないかもよ?」

残念ながら、私はそうは思えない。

「ひかるだって、別に西野の事まんざらでもないんでしょ?
 もし、西野に告られ」

「絶対断る!!」

美久が言い終わる前に、私は即座に断言した。

「だって、西野の事嫌いだし」

私は、フンッと鼻を鳴らしながら
当たり前のごとく、そう言った。
そんな私を見て、今度は美久がため息を吐く。

「私には、ひかるが西野を嫌ってる様には見えないんだけど」

「え、何で!? あんな奴大嫌いだってば!」

「嫌いだったら、相手にしなきゃいいじゃん」

「だってむかつくもん」

私がそう言うと、美久も諦めたようで「あっそう…」と
口を尖らせた。

そこで、次の授業が始まる合図であるチャイムが鳴った。




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