泣き虫少女と強がり少年
「ちょっと西野、もう私に構わないでよっ!」

次の休み時間、私は西野を睨みつけて怒鳴った。
けれど、西野は余裕の笑みを浮かべ、
「ボーッとしてたお前が悪いんだろー」
と、生意気な、それでいてごもっともな意見を述べる。

「あったま来た!」

文字通り頭に来た私は、
つかつかと西野に歩み寄った。
「おぉ、こえぇー!」
西野は戯けた様に言うと、また余裕の笑みを浮かべる。

「やれるもんなら、やってみろ」
西野は、その人懐っこい表情を崩す事なく、
それどころかニヤリと不適に笑って言った。

人を本気で叩いた事のない私にそんな度胸は無い、と
確信しているのだ、西野は。

だから、いつも嘗められる。

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