記憶の欠片たち
あたしがその集団に目を凝らしていると、アッキーとやらを好きだという後輩が顔を真っ赤にしてあたしを止めた。
「…わぁ、いいんです!いいんです!大丈夫ですから!」
どうやら、あたしにアッキーを選別される事さえ恥ずかしいらしい。
その子は首を振るばかりで教えてくれそうもない。
「えぇ~?いいじゃん。教えてくれたってー!…ぁ、茜~!あーかーねー!」
そこへ通り掛かった茜を発見して、顔の広い茜に選別して貰おうと手招きする。
「なに、紗季。後輩たちと仲良しじゃん?」
「まーね!羨ましいっしょ。でさ、アッキーってどれ?」
ニカッと笑い茜にそう聞くと、「紗季先輩、やめてぇえぇ~」と後ろから羽交い締めに合う。
それにニヤニヤと応じるあたしを見て、茜も顔を弛ませた。
「うふー!そゆ事ね?…って、アッキー…知らないなぁ。本名は~?」
「…あの…分からないんです。あの人たちが、その人の事をそう呼んでるくらいしか…」
そう答える小さく身を縮めた後輩が、何だかとても可愛くて。
茜と顔を見合わせて、それは親身に目を凝らした。
「茜、あの騒いでるメンバーで知ってる奴居ないの!?」
「えーと、えーと…」