記憶の欠片たち
あたしが、
花を好き…?
「…ぁ…?いや…。ねぇ、あの男子…誰?」
「だから知らないって…。…って、聞いてる!?おーい?」
ただ、呆然と。
あの男子に興味を持った。
花は嫌い。
あたしから大切な物を奪うから。
花は嫌い。
哀しい気持ちになるから。
でも。
守らなくちゃいけない、
大切なモノなんだよ…
『…でも独りは嫌…』
『…貴方は…一緒に、…守ってくれる…?』
「…紗季…!紗季って!ちょっと!何!どうしたの!?」
「…あぁ!…いや、なんかトリップしてた……」
あたしの自分でもよく分からない返答に茜は「はぁ!?」と眉間にしわを寄せ、あたしは離れていく黒いダッフルコートの背中に未だ視線を送っていた。
「…てか、今、小林に聞けば良かった…。『アッキー』がどれなのか…」
「…んあぁ!そーだった!!何で言ってくんないかな!忘れてたじゃんッ!」
「だって紗季ってば、いきなりフリーズするんだもん…。」
「…あはは!ちょっとある意味、衝撃を受けて?」
「はぁ!?」
「…まぁ、いいや!明日にでも突撃しよっと!小林は覚えたし!」
笑顔を取り戻したあたしに安心したのか、茜もいつも通りに笑ってた。