記憶の欠片たち


あたしが、
花を好き…?


「…ぁ…?いや…。ねぇ、あの男子…誰?」

「だから知らないって…。…って、聞いてる!?おーい?」

ただ、呆然と。
あの男子に興味を持った。


花は嫌い。
あたしから大切な物を奪うから。

花は嫌い。
哀しい気持ちになるから。

でも。
守らなくちゃいけない、

大切なモノなんだよ…



『…でも独りは嫌…』

『…貴方は…一緒に、…守ってくれる…?』



「…紗季…!紗季って!ちょっと!何!どうしたの!?」

「…あぁ!…いや、なんかトリップしてた……」

あたしの自分でもよく分からない返答に茜は「はぁ!?」と眉間にしわを寄せ、あたしは離れていく黒いダッフルコートの背中に未だ視線を送っていた。


「…てか、今、小林に聞けば良かった…。『アッキー』がどれなのか…」

「…んあぁ!そーだった!!何で言ってくんないかな!忘れてたじゃんッ!」

「だって紗季ってば、いきなりフリーズするんだもん…。」

「…あはは!ちょっとある意味、衝撃を受けて?」

「はぁ!?」


「…まぁ、いいや!明日にでも突撃しよっと!小林は覚えたし!」

笑顔を取り戻したあたしに安心したのか、茜もいつも通りに笑ってた。


< 14 / 19 >

この作品をシェア

pagetop