HEMLOCK‐ヘムロック‐
それは界の頭髪であった。
彼が纏うスーツとは対照的な真っ白。まだ26歳の若い青年でありながらそれは初老の正也よりも白く、黒は一本も混じっていない完全な白髪だ。
さすがに正也はこんな探偵像は予想していなかった様で、上手くリアクションできずに、そのまま固まってしまった。
「すみません。気になりますよね。この頭」
界は苦笑して見せたが、正也の様な反応は例外ではないので内心この手のやり取りはもう慣れっこであった。
「実はストレス性の脱色症で、何年も前からこんな白髪頭なんです」
説明しながら、界は盟の隣に腰掛ける。
「はぁ、ストレスで……、大変、苦労されているんですね」
正也はなるべく界の目を見て話そうとはしているが、僅かに頭髪に目線がチラチラ行っているのが界本人にも盟にも手に取るように分かってしまう。
界は敢えて好青年の笑顔を作った。
「依頼にはなんの差し支えもありませんが、橘様がご希望でしたら担当を変更する事も出来ますよ?」
「いや! とんでもないです!! そんなつもりでは……、すみません!」
たまには謙虚に引く姿勢が、依頼を受理まで持ってく秘訣でもあると、界は熟知している。
逆に後に引けなくなった橘の様子に心でガッツポーズを取っていた。
「ありがとうございます。では、早速具体的に依頼内容について話していきましょうか。まず、捜査期間の方ですが……」
この様な流れで今回は無事、黒菱興信所の依頼として受ける事ができたのだった。
彼が纏うスーツとは対照的な真っ白。まだ26歳の若い青年でありながらそれは初老の正也よりも白く、黒は一本も混じっていない完全な白髪だ。
さすがに正也はこんな探偵像は予想していなかった様で、上手くリアクションできずに、そのまま固まってしまった。
「すみません。気になりますよね。この頭」
界は苦笑して見せたが、正也の様な反応は例外ではないので内心この手のやり取りはもう慣れっこであった。
「実はストレス性の脱色症で、何年も前からこんな白髪頭なんです」
説明しながら、界は盟の隣に腰掛ける。
「はぁ、ストレスで……、大変、苦労されているんですね」
正也はなるべく界の目を見て話そうとはしているが、僅かに頭髪に目線がチラチラ行っているのが界本人にも盟にも手に取るように分かってしまう。
界は敢えて好青年の笑顔を作った。
「依頼にはなんの差し支えもありませんが、橘様がご希望でしたら担当を変更する事も出来ますよ?」
「いや! とんでもないです!! そんなつもりでは……、すみません!」
たまには謙虚に引く姿勢が、依頼を受理まで持ってく秘訣でもあると、界は熟知している。
逆に後に引けなくなった橘の様子に心でガッツポーズを取っていた。
「ありがとうございます。では、早速具体的に依頼内容について話していきましょうか。まず、捜査期間の方ですが……」
この様な流れで今回は無事、黒菱興信所の依頼として受ける事ができたのだった。