HEMLOCK‐ヘムロック‐

「まさか、礼二さんに聞きに行く気なのか?」

「普通そっちの考えのが自然じゃない? 義理でも兄弟だもん」

 泉の言う通りだった。
何故礼二の事を思い付かなかったのか。しかし先に詠乃の方が浮かぶ程、実質界と礼二は疎遠なのだ。

 特に泉は2人の仲が良くない部分をこの前実際目にしていた。


「界くんと礼二さんが仲悪いのは、養子とかの問題じゃないと思う。だって、じゃなかったらウチに仕事なんて回してくれないよ」

「じゃあ2人の険悪な関係の原因は、盟にあるって事か?」

「分かんないよ。それもあまりピンと来ないけど」


 大体にして、礼二に用がある時は、盟が訪ねる事になっていると、礼二本人が言っていた。ので、盟が原因とは考えてにくい。

 意を決した様に泉が立ち上がった。


「泉、礼二さんにアポとってみるよ!」


 透は(そんなアポが通るハズない)と思っていたが、泉を止めなかった。やはり聞けるなら自分も話を聞きたかったのだ。

 しかし電話を終えた泉は、意外にもガッツポーズで戻って来た。



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