HEMLOCK‐ヘムロック‐
「昨日ぶりですね。駆藤さん。あなたもご存知なんでしょう? 黒菱兄弟の秘密……」
「帰って!! いい加減にしてッ! 何なのよあなた!?」
盟が今まで見た事も無い程に逆上している。
透は礼二の電話も含めて状況が飲み込めなかったが、とりあえず“城戸 勇がヤバい奴”ということは脳がはっきり信号を送っていた。
盟の声を聞きつけて界と泉も奥から現れた。
「どうされました!? 盟、何があったんだ?」
盟と勇を見比べて界が尋ねたが、両者は無言で向き合ったままだった。
泉はただオロオロしている。
「……本当に、俺の事なんか覚えてないんだね。
……“メイ”」
勇は悲しそうにそう言うと、メガネを外した。どうやらメガネは伊達らしく、コンタクトレンズまで外しだした。
「俺はメイの事、忘れた日なんて無かった」
そこでようやく盟は気が付いた。
勇の銀色の両眼を見て。
彼はどうやらカラーコンタクトをして、銀の瞳を隠していたらしい。
そして盟はその銀色を見るのは初めてではなかった。
「ま、さ、か……」
次に勇が黒髪のカツラを パッ と、ネットごと外した瞬間。今度こそ全員が反応した。