HEMLOCK‐ヘムロック‐
 男は30代くらいだったが、咲恵には妙に慣れた口調だ。


(やっぱ不倫相手か? ただ、なんか引っかかるな)


 やがてバス亭に着き、2人が並んだため界も列に加わった。
さすがに前後に他人、そして界が並んでいる為か、待っている間2人は言葉を全く交わさない。
その間に透も合流する事ができた。




『どんなカンジ?』


『秘密の関係なのは確かだ
ただ、決定的に不倫かはまだ分からない
お前が言ってた金銭絡みかも』



 界と透は3人の人を挟んで並んでいて、メールで会話をしていた。
近くにいながらのメールでのやり取りは、仲間である事をカモフラージュ出来る為、2人で捜査する時の常套手段なのだ。


 やがてバスが到着し、咲恵と男は乗りこんだが、2人は離れて座ってしまった。
界と透もそれぞれ2人の様子が見える位置に着く。

 男は携帯をいじっており、咲恵の方は鞄をしっかり抱え、その手元を見つめている。その表情は無表情にも、若干強張ってるようにもとれた。



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