HEMLOCK‐ヘムロック‐
 こないだとは一週間前、黒菱興信所に城戸ことアポロンこと、紅龍會の男イオがやって来て、界の両親やら盟の両親やらの事を暴露したあの日の事である。

今日こうして礼二や詠乃と会うのは界から提案した事だった。


 詠乃は礼二の隣に座った。本来なら上座と逆の界の隣に座るべきだが、そこはさすが詠乃と言った所だろう。

まるで界が何かの面接に来た様な形になった。


「で、界くんは今日はどんな用なのかしら? 私に借金返しに来たの?」

「いや、借金はまた次回で……」


 界は濁しながらカバンから2つの封筒を取り出した。


それは例の界と盟に宛てた、父、灰仁の遺言書であった。



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