HEMLOCK‐ヘムロック‐
そんな事から2時間経ち、冒頭の礼二の社長室の場面に至る。今日半日で、界は捜査並みに疲労してしまった。
界が取り出した2つの封筒を礼二は受け取り、そっと開けた。
まずは界に宛てたものだった。
我が息子 界へ
お前との約束が果たせないまま逝く事は本当に無念だ。まりさんを見つける事が出来ないまま私の人生が終わるのは、私にも辛い。
ここに遺す事は全て覚悟を決めて読んで欲しい。
まずはお前が長年気にしていた盟について。実は盟はある組織の総帥の娘である。なぜそんな子がお前の両親と関わっているかは……
もう解っているな? お前の両親もその組織に関係していたのだ。
私はその組織とお前の両親の関係を突き止める所までしか解らなかったが、まりさんの失踪はこの組織が絡んでいると見て間違いない。正直、生存の可能性は絶望的だ。
約束と違ってしまうが、界、私はお前にこの組織と関わって欲しく無い。結局自分勝手な私を許してくれとは言わない。
だが私には止める権利は無い。どうしてもその組織について知りたければ、ここからは自分の力で調べなさい。
願わくば、お前達が平和でいられるよう。
黒菱 灰仁