HEMLOCK‐ヘムロック‐

「この文面では書かれていないけど、盟ちゃんは自分が紅龍會の人間の娘って知ってたみたいね」

「俺と夜逃げの船で会った事も覚えてた。けど、俺の両親と妹の事件の事はこの遺言で初めて知ったらしい」

「灰仁さんは、界くんと盟ちゃんに危険が及ぶと思って大切な事は全部墓場に持ってくつもりだったのね」


 しかし灰仁が隠していた真実は、イオの出現により全て暴露されてしまった訳である。


「フフ……」


 礼二がいきなり不敵に笑ったので、2人はかなり驚いた。と言うか若干引いた。


「なる程、親父らしい。元々こうなると解っていたのか」


 礼二はまだ微かにククッっと笑っている。
礼二が笑いを堪える場面など、彼がお笑い番組を見ていてもそうそうお目にかかれない。


「こうなるって、どう言う事だよ?」

「界、お前が紅龍會って組織の存在に辿り着く事だ。
父としては隠したかったのだろうが、同時にヒントを遺したんだ。お前の性格上、諦められないだろうからな」


 礼二は界に見せるつもりで用意していた、自分宛ての遺言書を内ポケットから出して界に渡した。透と泉に見せた物である。
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