HEMLOCK‐ヘムロック‐
 詠乃は今度はそれを読む為、界の隣に行った。


「界くんを社長にさせろって事しか書いてないわ」

「いや、文の頭を繋ぐと“紅龍會”。兄貴はコレだけで紅龍會を知ったのか」


 礼二が頷き、今度は界が笑った。


「なる程な! この遺言書が3つ揃ってたなら、最初から大体の事が解ったって事か。
俺の両親が幹部って事とまりがHEMLOCKの被験者って事以外は」

「あ! 確かに~」

「俺が盟から組織の名前聞き出すのにあんなに苦労する事も無かったのかよ」

「だが盟はお前の事を信頼して、早い段階からお前に打ち明けた。だからお前は盟と2人で興信所を始め、紅龍會を調べ始める事も出来たんだろ」


 礼二は本当に面白そうな様子だ。全ては界と礼二が仲違いしたあの日に既にあったのだ。


「どうしても組織の事が知りたいなら、始めから兄貴にも頼れって事だったんだな!」

「いや、簡単にそうならないように仕組んだのかも知れないぞ。界を社長にしろって遺言で、兄弟の衝突を謀ったのかもな」

「俺が社長で忙しくなれば、紅龍會どころじゃ無くなるしな。やっぱ遠ざけたかったんだろうな」

「お前が遺言を無視するとは思って無かったみたいだ」
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