HEMLOCK‐ヘムロック‐



「呈朝会!? その黒髪の男が!?」


 事務所に戻った透の一連の話に界は驚いた。
界も仕事柄、ヤクザや暴力団と関わらねばならない事は多く、新宿を縄張りにしている呈朝会と言う暴力団の事は知っていた。


「でもさ、橘さんの奥さんとその、呈朝会? って暴力団が一体どんな繋がりなワケ!?」


 泉は半興奮状態で聞いたが、界と透は深刻そうな表情で黙っていた。


 ただの不倫調査があらぬ方向へと展開している。それとも透は全く無関係なやり取りの一部を目撃したに過ぎないのだろうか?


「やっぱり大石が渡した小包が気になるな。大石と黒髪の関係洗おうか」


 界がそう言った時、資料室から盟が紙を片手に事務所に入って来た。


「黒髪の男、わかったわよ。柏崎 簾(れん)33歳。呈朝会の人間よ」


「なんか、ただの不倫問題じゃなくなってきてない? その大石の小包ってなんかヤバそうだし? 大丈夫なの?」
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