HEMLOCK‐ヘムロック‐

「ヤバくても仕事だ。盟、明日から橘 咲恵の方、頼めるか? 呈朝会と大石の方は透と俺2人で当たる」

「わかったわ」

「え!? 泉は? 1人で事務!?」


 泉の糾問に、界は穏やかな眼差しを送る。そして黙って彼女の肩を両手でしっかり掴んで言った。


「大丈夫だ泉。お前は頼りになる優秀なアルバイトだ!!」

(えぇっー……)


 探偵業務の事務、特に資料作りは張り込み捜査同様と言える程、重要で大変な作業だ。それを独りでやれと言われた日には、さすがの泉も石と化すしかなかった。

せめて捜査がしてみたい。と……。



 咲恵、塾講師、そして呈朝会――これらは一体何の繋がりがあるのだろうか?


 そしてこの人物達の関係が、界の秘密に関わる事になるとは、この時は誰1人、界本人も思わなかった……。




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