HEMLOCK‐ヘムロック‐
『「何故「HEMLOCK」の製造を手掛ける道を選んだんだ?」……ですって?』
アイリーンは界を見据えた。そして急に「クックッ……」と笑いだした。
界は黙ってそんな彼女の様子を凝視している。
『あなたは自分の両親のした事が許せる? 伯方 界』
『許せない。それは例え、巻き込まれたお前に対しても同じだ』
『私もよ。あんたの両親のアレス、アテナも、私の両親も……!!』
アイリーンの瞳は憎しみと、相反して溢れた涙で歪んでいた。
『ショックだった……。父さんと母さんがそんな組織と研究に関わってた事。
アレス、アテナが勝手にそれを投げ出して、両親を巻き込んだ事……。
でも何より、そんなアレスとアテナを庇ったせいで殺された事がっ!!』
エメラルドグリーンの目が界の心を抉る様に殺気を放つ。
『私を置いて、何時も独りにさせておいたくせに……、何バカな事をやってるの? って何度も両親を呪った。
犬死にもいい所じゃない……。
全て知ったあの日から、アレスが完成を恐れたHEMLOCKを、完成させる事だけが私の生きる導なの。
両親が自分の娘より大切にし、完成を望まなかったHEMLOCKを、私がこの手で創り上げる事だけが!!』