HEMLOCK‐ヘムロック‐

『何その言い方。彼は自分の意思で日本に行ったのよ』

カツン

『アイツなら組織だって裏切ると知っていてか?』

カツン

『……私の質問に答えてよ』

カツン!


 一言づつお互いに駒を進めて行く様は、どこか意地を張り合ったケンカに見える。


『紅龍會の事自体は知ってたが……、イオが来てからの方が新しく知った事が多い気がする。お前の事とかな』


 界の黒いビショップが、アイリーンの白いビショップを仕留めた。


『あなたがどうやって紅龍會を知ったのか、すごく興味あるんだけど』

『俺を養子にしてくれた人が調べてくれたんだ』

『……すごい人。一般人ではなさそうね。探偵とか?』


 ルークを4つ進めながら見事に言い当てた。
アイリーンが事前に界や灰仁の職業を知っていたのか、それとも彼女の高いIQが弾き出した予想なのか。定かでは無い。


『私にもね、紅龍會へ導いてくれた人がいたの』


 ポーンを進めながらも、界はアイリーンの言葉に耳を傾けた。



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