HEMLOCK‐ヘムロック‐
 ランディがアイリーンを救いたい気持ちは分かるが、ベンジャミンを人質に取るのに意味はあるのか。


『伯方 界――アンタが私の所に来た理由……、“コレ”も計算に入ってたってワケ!』

『何言ってんだお前。自意識過剰なんじゃねーの?』


(とか言って、確かに俺の狙いはアイリーンから『HEMLOCK』の製造データを奪う事だった。
研究員の幹部であるヘスティアかポセイドンなら絶対にそれを管理してる筈だ、と。
“HEMLOCKの製造方法”と“流通データ”この2つが紅龍會の生命線なのは確実だ!
これが外に漏れれば、組織は確実に潰れる)


『アンタが「HEMLOCK」のデータを取りに私のトコに来たのは分かってたけど。ランディを使ってベンにまで……』

『イヤ、だからそれは俺じゃ……』

『ヒゲのおっさんの事は俺の独断だ!!』


 ランディが胸を張って笑顔で主張した。
銃を突き付けられているベンジャミンは、心なしか疲れた顔をしている。


『黒菱 界が紅龍會を潰すとしたら「HEMLOCK」のデータが必要だろうと思ったからな! 気が効くだろ?』

『……』


 つまりランディは、独断だがきちんと界の意図を汲んで行動していた(つもり)らしい。
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