HEMLOCK‐ヘムロック‐

(なんか界くんのお兄さんとは思えないなぁ)


「あの、礼二さん、『HEMLOCK』って言葉聞いた事ありますか?」


 泉はさり気なく下の名前で呼んでみた。


「ありますが?」

「! ……あのそれって!!」


 その反応に泉は前のめりに食いつく。



「ドクゼリの英語名です」

「は……」


 ガックリし過ぎてそのまま前のめりに倒れたい思いだった。


「そうじゃなくて、クスリの名前なんです!!」


 いよいよ礼二の表情が絶対零度に近づいた。
それは盟の、界を蔑む冷たい目線などまるで比にならない。


「貴女は自分で何を言ってるか解って言ってるんですか?」

「え……!?」

「それはそもそも、貴女が知っていていい様なものではない。どこでその言葉を知ったんだ?」


 一瞬、礼二の言葉遣いまでもが威圧的になり、泉は何も言い返せなかった。


「もし偶然知ってしまったなら、もう忘れた方がいいでしょう。忘れて下さい」

「でも、『HEMLOCK』って聞いた時の界くん達の反応、普通じゃありませんでした! 絶対何か隠してます!」
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