HEMLOCK‐ヘムロック‐

「貴女は捜査員では無い。だから界も『HEM』の事は教えない。
それで貴女は兄である私の所へ来た。違いますか?」


 完璧な図星であった。

 どうやら『HEM』(ヘム)とは『HEMLOCK』(ヘムロック)の略称らしい。

 しかしここまで来て、泉も引き返せない。


「そうですけど……、でも! 界くん達が何か危険な事に巻き込まれてるみたいでイヤなんです」

「探偵とは時にそういう仕事です。やむを得ず関わらなければならない場合もあります」

「でも!」

「忘れて下さい」

「ヤダ! 教えてくれるまで帰れません!!」


 ガタンと立ち上がり、15の少女はひるみながらも必死に睨み返した。
礼二の次の言葉を待つ間が酷く永く感じられた。



「……駆藤 透」



「え?」

「界達が隠しているとしたら、彼の事でしょう」

「と、透くん!?」


 意外な所で透の名を出され、泉は何がなんだかよく分からなくなった。
反撃の言葉すら見つからない。


「ただし、界は貴女や興信所、何より駆藤 透を想って黙っている事を理解することが大切です。
私が言える事はここまでです。そろそろお引き取り願えますか? 」
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