HEMLOCK‐ヘムロック‐
「はぁ~。なーんで俺の会社、こんなんになっちまったんだろ」
嘆きながらも界は未だにネクタイの丈と格闘していた。
「所長がこんなだからだろ。ネクタイくらい普段からしろよ」
「泉達がいなきゃ何もできないくせに~」
「ちょっと! 早くネクタイ直して!」
結局ネクタイは盟がやるハメになった。
ちなみにこの私立興信所、客足が良くないにも関わらず宣伝にさほど力を入れていない。
この会社は界が、彼自身と妹、そして『ある目的』の為だけに設立したのである。
しかしそれとは別にこの興信所から客が遠退く理由もある。そして今日ここに訪れる依頼人も、もうすぐそれに直面する事になるのだ。