湯川 英一の、ある一日
彼女は僕から距離をとって、僕を冷たい目で眺めている

「ちがう!ちがうんだ!聞いてくれ!これは・・・そうだ、誰かが僕のIDを勝手に使って書いたんだ!そうに違いない!」

もう、何が何だかわからない。

「違うわ、あなたはずっと、それを書いてた。そんなのばっかりだった。」

「え・・・?」

「あなたは、最初から、そんなのしか書けなかった。ずっと・・・ずっとそんなのばかりだった!」

僕は絶句した。
僕は小説家志望で、ちゃんとした文章を書いていた。書くのが大好きだった。
でも、見たこともない文章が、僕の名義でアップロードされて・・・・

じっくり考えたが、何も思いつかない。何もわからない。

彼女のほうを見る。

彼女は

いつの間にか、右手に注射器を持っていた。
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