ミモザの朽ち木
狐につままれたような気分で朝食をとりながら、私はテレビの星座占いを見た。

射手座生まれ。思いがけない人物との再会。アンラッキーカラーは黄色。


私は機械的に手を動かして、コーンスープのカップを繰り返し口に運んでいたが、食欲はすっかり失せていた。


会社に出かける比佐史を玄関口まで見送る。


「ねえ比佐史、ひかるは今年でいくつだったかしら?」


「……十三だろう。流利子、大丈夫かお前? 何か変だぞ」


比佐史は不審げに私を上から下まで眺め、首をかしげながら家を出て行った。


私はそのまま玄関先に座り込み、内鍵を閉めるのも忘れてしばらく放心していた。


あり得ない。

こんなこと、あり得ない。

私は非日常の世界に入り込んでしまったのだろうか。

いや、もしかすると、ひかるのほうが非日常の世界からやって来たのかもしれない。

罪を犯した私に制裁を加えるために。

命を奪い去った私に復讐するために――。
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