ミモザの朽ち木
当時のことを思い返し、私は寝室のベッドに腰かけて長い時間ぼんやりとしていた。

そしてふと、部屋の中に見慣れないものがあることに気づいた。

ナイトテーブルの上にアクリルのフォトフレームが飾られてある。


見覚えのない一枚の写真――。

黄色いポンポン状の花を満開に咲かせたミモザの木。

その木の下で、私と比佐史とひかるの三人が並んで立っている。

写真を手に取り、隅から隅まで仔細に眺めてみるが、いつどこで撮ったものなのか全く思い出せない。


私はうす気味悪さを覚え、フォトフレームを元の場所に戻した。

おそらく、これからも不可解なことが次々と起こるに違いない。

その予感は、私をますます暗鬱な気分にさせた。
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