それでも、私は 。
何でかは自分でも分からない。
何でこんなに気になるのかなんて、私には全く分からない。
ただ、迦南さんのあの綺麗な泣き顔が頭から離れない。
採血している時も、レントゲン撮ってるときも。
ずっと迦南さんが目に焼き付いていて離れない。
私ははあ、とため息をついた。
「どうかしたの??」
「香織さん…」
「今日、元気なくない??私で良ければ相談のるけど??」
香織さんは私とあまり年齢が変わらないのに、
すごく大人びていて、私のお姉さん的存在。
その見た目とは裏腹にものすごくサバサバしていて、私ととても気が合う。
「香織さん!私、今日ずっと変なんです!」
「詩織はいつも変じゃない。」
あはは、と豪快に笑いながら言う。
私もそれにつられて失笑する。
「冗談よ、冗談。で?どうしたの?」
「長くなりますけど、聞いてくれます?
私の住んでいるマンションは隣のマンションとの距離が近いんです。
それでベランダ越しの迦南っていうおもしろい人がいて…」