ホットミルク
「松山君。これ作るの手伝ってくれる~?」



二人で話していると、大道具の方から女の子の声がした。



「あ、今行くよ。じゃぁ土屋さん、頑張ってね。」



「うん、松山君も。」



軽く挨拶をすると、松山君は大道具の方に戻っていった。



何気なく見ていると、さっき声をかけてきた女の子と、楽しそうに会話しているのが目に入った。



松山君が何か冗談を言ったらしく、女の子が軽く松山君をはたいて笑っていた。


あの子と仲良いんだ。



あの子、名前なんていったっけ。


え~っと………




「滝玲子。」



「そうそう、滝玲子ちゃん!って茜~。何いきなり…。」



茜はあたしの肩に顎を乗せながらあたしの疑問に答えた。



「ん~?あの子が気になる?」



「別に、そういうわけじゃないけど…。」



「松山はやめときなって。噂だと、あの滝玲子が好きらしいよ、あいつ。」



「え、そうなの?!」



「噂だけどね。ま、実らない恋はしない方がいいって、ね?」



「あたし別に松山君が好きとか何も言ってないじゃん。それに、あたし大学で恋愛はしないつもりだから。」



「またまた強がっちゃって~。美香って結構モテるんだよ。狙ってるやついっぱい聞くもん。」



「そんなわけないでしょ。とにかく、なんでもないから。」



あたしは強制的に会話を終らすと、再び練習に戻った。
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