ホットミルク
「何してるの?」


あたしが声をかけると、松山君は少し驚いて顔を上げた。



「土屋さん、まだ残ってたんだ。俺は今日倒して壊れた道具を作り直してるとこ。」



「そっか。一人で大変だね。」



「一人でもやれるし、大丈夫だよ。それより土屋さんこそこんな遅くまで練習してて偉いよな。」


「なんか最後までちゃんとやっとかないと不安で。明日…大丈夫かなぁ。」



「土屋さんならできるよ。いっぱい練習してたし。自信持てよ。」



「…うん。……そういえば、あたし初めて松山君に会ったとき、変なこと言ったの覚えてる?」



「あぁ、あの時か。覚えてるよ。結構びっくりしたしね。」



「あの時はほんとごめんね。変な奴~とか思った?」


「うん。」



「はっきり言うね…。(笑)」



「でも、俺もどっかで会ったような気もするんだよな。何でだろ…。」



「ほんと?じゃぁやっぱり会ったことあるのかな。どうしても思い出せないんだけど…。」



「もしかしたらね。さてと、これ作るのも終ったし、そろそろ帰るか。土屋さんももう平気?」



「うん、大丈夫。」


窓の外を見ると、もうすっかり暗くなっていて、どこかの部屋の窓の明かりだけが煌々と光っていた。
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