ホットミルク
そんなことをしていると、いよいよ開演の時間がやってきた。



みんなじゃがいも…じゃがいも…



会場いっぱいにじゃがいもがひしめいている光景を思い浮かべた。



なんとも異様な光景。



でも、だいぶ気分が落ち着いてきた。



茜、ありがとね。



頑張るよ、あたし。



そして、いよいよ舞台に立つ時間になった。



会場が暗くなり、音楽が鳴り始めた。



いよいよだ。



自分の出番が近づいてくる。



目を閉じて、頭の中で強く念じた。



あたしは、「夕鶴」の主人公、つう…。



つう……。



そして、ゆっくりと目を開き、舞台に向かって一歩踏み出した。
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