ホットミルク
「何してんの?」



「……人間観察?」


「なんだそれ。笑」



あ~ぁ、来ちゃったよ。



気まずいなぁ、もう。



「玲子ちゃんのとこ行かないの?」



うわ、思わず言っちゃった。



こんなこと言うつもりなかったのに…。



「別に…あいつはあいつなりに楽しんでるみたいだし。」



松山君が少しふてくされたように言った。



「何いじけてるの?松山君らしくないね。」



「別にいじけてるわけじゃないよ。…ただ、俺といるより楽しそうだし。邪魔しちゃ悪いと思って。」



「なんだ、やっぱりいじけてるじゃん。」



「……。」



松山君は無言で靴ひもをいじっている。



「松山君といるときの玲子ちゃんだって、すごく楽しそうだよ。なんか気を許してるって感じで。」



「そこが問題なんだ。玲子にとって俺はただの友達だし。恋愛対象としては見てくれないよ…。」



「そんなことないよ。諦めちゃダメだよ。諦めたらそこで試合終了だよ!!」



あ~、酔ってるからかな。


なんか変なことベラベラ喋っちゃってるよ、あたし。


「…ぶっ!!どっかで聞いたことあるセリフ…。」



「あれ?そぉ?」



「うん。ははっ、あ~なんか落ち込んでたのがバカみたいだなぁ。土屋さんのおかげで元気出た。ありがとな。」



「別にあたしは何もしてないよ~。」



「でも結構効いたよ、さっきのセリフ。」



「なんかよく分かんないけど、松山君が元気になったんならいいや。ほら、早く玲子ちゃんのとこ行ってきなよ!!」



「うん。土屋さんも好きな奴できたら相談してね。協力するから。」



「ありがと~。じゃ、その時はよろしく!!」



なんて、あたしには好きな人できないと思うけど。



さっきまでふてくされていた松山君は、お帰りコールと同時に玲子ちゃんに蹴りをくらわされていた。



相変わらずSだなぁ。



そんな二人を、あたしは遠くから笑いながら見ていた。
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