小野先生とアタシ
そして先生の言葉に返事もせずに話を戻す。
「今日の14時の特急の指定を取ったからもう時間がなくて。
荷物は…これ、住所です。
まとめてあるんで着払いで送ってもらえないでしょうか…」
そう言いながら先生の側にメモを置いた。
それから顔を上げて今度はできるだけの笑顔で言った。
「アタシ、先生の授業が大好きですから」
――アタシ、先生が大好きですから――
少しの間だけど楽しかったです。
先生は資料を整理していた手を止めてアタシを見上げる。
アタシはそのまま頭を下げる。