小野先生とアタシ
「ああ、そうだ…。
キミをこっちに引き止めてしまった以上、
住むところ…どうにかしないといけないな」
先生が思い出したようにホームに入ってきた電車を見ながらポツリと言う。
先生の見つめる電車がゆっくりとスピードを落とす。
「…アタシ、別に今のままでも…」
「それはできない。
これからの二人のためにも…
そういうことはきちんとしておかないと。
せめてキミが卒業するまでは…」
そう言って視線をアタシに戻す。
「でも今日はとりあえず…」
アタシを見る先生の瞳はとてもやさしい瞳だった。