この世界で二度きみを殺す
回想終了。

そっと瞼を上げる。


これが、わら半紙一枚に収められたちさとの過去。


罪の無い人の血の雨を降らせてしまった、紛れも無い事実。



けれど僕は、ちさとの今を、これからを、

見れていけたらそれでよかった。



なのにちさとは、それを拒絶した。


二人でいようと約束したのに、ある日突然、求めながらも拒絶した。



…求めながら、拒絶して。


苦しまなければならないなら僕は。






「そーちゃん、お待たせ」






部屋の扉が控えめに開いた。
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