この世界で二度きみを殺す
「スタッフさんたちに挨拶してきたよ♪
お世話になったし、皆心配してるから、そーちゃんもちょっと顔出ししよ?」



僕から離れている間に頭が冷えたのか、

ちさとの、仮面じゃないいつもの笑顔が隙間から覗く。



「うん、そうだね」



そうして、起きた時に掛けられていたタオルケットを四つ折に畳み、

ちさとのいる扉の外へと向かう。


隣に立つと、ちさとが"大丈夫?"と言葉にせずに、

僕を見上げて僅かに首を傾げる事で聞いてくる。


なので僕も口は開かず、ちさとの肩を軽く抱き寄せる。


けれどそれは、いつものように優しさが込もったものではなく、

"こうするのが僕という生物だ"という客観的な思考に基づく反射のようなもの。


冷めきった、ものだった。



そしてスタッフもまばらになった広い廊下を歩みながら、口を開く。
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