この世界で二度きみを殺す
瞬時に頭が冴え渡る。


と共に、鈍痛に近かった痛みが、電流のごとく全身を駆け抜ける。


けどそれよりも!



「…さと…ッ」



ああくそ声が出ない!


進藤さんが、ちさととの距離をゆったりを縮めていく。


ちさと、ちさと、ちさと!!!



「―――ッ、ちさと!」



頼む起きてくれ!



「…さと、…と、ちさと!!!」



視界の端が白くなってくる。


力を入れるたびに出血するのだから当然かもしれない。


ああでも、呼ばなきゃ、呼ばなきゃ、呼ばなきゃ。


いや呼んでるよ!呼んでる!

ちさとで起きないなら何て呼べばいいんだ!!


うあ、脇腹がどくどくと嫌な脈を打ってる。


ちさと、ちさと、ちさと…。


………


……


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