この世界で二度きみを殺す
――『あたしは何もしてあげられなかった。前の家にいた時も、怖くて影から見てただけ』



そうだよ僕が見てたのは。



『左の背中の傷が致命傷…、ここだけ出血してる。
あとは死亡してからつけた傷…?』


"酷い"

"よほどの恨みを持ってるとしか思えない"


ああそうだ、あの人はそう言ったんだ。




『警察は信用できない。この手で犯人を追い詰めたい』



ああ…あの人の名前…。


言ったらな。言っちゃったらな。


言ったらちさとが消えてしまう。




ちさとにそっくりな、あの人の名前。




ああそうだよ、僕が見てたのは見てたのは見てたのは!
< 149 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop