この世界で二度きみを殺す
「いや、違くはないんだけど…。
ど、どうせなら優しーく綺麗にして欲しいなー…殴るとかじゃなくて」


「なに?じゃあ皮剥ぐの?」



しれっと恐ろしい事を言う。



「いやっ、だからそういう事ではなく!!
あの、その……髪、洗ってほしいな、ちさとに」



自分で言ってて身の毛がよだった。



いくら自分の身が可愛いとは言え、顔から火が吹く羞恥プレイだ。取り消したい。


自分のセリフに、言葉にならない言葉を発しながら身悶える僕。



すると、何かを床に落とす音がした。



ちさとの方に目をやると、その足元にはバットが転がっている。



どうやら渾身の口説き文句は、

自分に与えたダメージ以上に、ちさとには効果抜群のようだ。



ちさとは瞳を丸くし顔を赤く染めていいて、さっきまでの般若の相は嘘のよう。


顔からは見えない湯気が立ち上がっていて、

今にも走り出しそうな機関車を思い起こさせる。
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