この世界で二度きみを殺す
ちさとは、僕のためなら自殺でも犯罪でもするような奴だ。


だから生き返るのも、それが僕のためと言うなら不思議ではない。



一応、携帯を開いて日にちを確かめた。


タイムスリップをしてるわけでもないようだ。



慌しい朝に、考え事はするだけ時間の無駄なので、

高校の制服を適当に着込んでから、鞄を手にして台所へ向かった。





「爽、おはよう」



母親が、味噌汁の鍋を片手に声をかけてきた。



その隣には、お昼用のお弁当を作るちさとがいる。



毎朝必ず僕の分まで作ってくれて、高校二年になった今でも、

一日たりともそれが途絶えた事はない。



僕は大きなあくびをしながら、挨拶の返事に首を大きく縦に振る。



そしてそのまま、六畳の台所の大半を陣取る、4人掛けの長テーブルに座った。



目の前には、父親が煙草の煙を昇らせながら、新聞を広げている。



朝は、家族が揃う貴重な時間だ。


両親とちさと、そして僕。



ちさとは、僕の妹でも姉でもなく、従姉妹だ。



年は僕と同じで、幼い頃に両親を亡くし、この家の一員になったのだった。



あとは、今、この室内にはいない姉は、電車で往復4時間もかかる高校へ通っていて、

生活リズムが合う事はまずない。
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