この世界で二度きみを殺す
『俺だったら勘弁なんだけど(笑)
両親をあれでしょ?殺(や)っちゃったんでしょ?』



そこで、他の女子が"ナニソレー?""それ聞いてない"とか、好奇の声を上げる。



『マジマジ。俺アイツの元小の奴と知り合いなんだって。

包丁で殺っちゃったらしいけど、ガキだったし、何か色々あったらしくて、揉み消されたらしーよ』



悲鳴があがる。



こいつらは、冗談とそうじゃない事の区別がつかないのか。



『人殺しが彼女とか、速水君、頭イッてるしか思えないよ?』



瞬間、そいつだけ群れの中から弾き飛ばされた。



僕が、その野本という皮を被った悪意の塊を目掛けて、革製の鞄で思い切り横殴りしたからだ。



『―――謝れ!』


『ぁあ゛!?てめーが頭ヤバイのは事実だろーが!』


『僕じゃない!ちさとにだ!!』


『それこそ事実だろ!何で俺が人殺しなんかに、』



すねを思い切り蹴飛ばす。



そうして床に倒れ込んでいるそいつを、更に一回、二回蹴飛ばした後、

馬乗りにして顔面を何往復にも殴る。

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