この世界で二度きみを殺す
「ちゃんと下も着替えるよー?」


「…上は?」


「?そのままだよ?」



何かおかしい?とでも言いたげだ。


いや、どう考えてもおかしいだろ。



「式場見学に制服はちょっと…」



きっぱりざっぱりな思考回路とは裏腹に、弱々しい口が意見する。


いくらこちらが正しくても、女の子のオシャレに口出しするのは気が引けるし…。



「えーやだ、そーちゃんのお茶目さん♪
さすがに下は制服じゃないよぉ」


「ああ、ははは、そっか」



そうだよな、と自分の言葉を反芻している所で、

ちさとの襟の裏から小さい何かが落ちるのが見えた。


人差し指くらいの大きさの黒い物体を、ちさとの足が踏み付けそうになる。
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