この世界で二度きみを殺す
「そーちゃん?
何で顔隠してるの??」
…苦い思い出を反芻してました、はい。
するとちさとは「てりゃー」と間の抜けた掛け声をもらしながら、
僕の顔を覆っている手を剥がそうと、指を一本ずつ引っぱる。
けれど離れた指は、他の指を相手にしているうちに元の位置に戻ってしまうので、
ちさとは諦め階段の上を見上げた。
「はぁーあ~~~。
式場の人、ケチ」
頬を膨らましながら、口を尖らす。
「しょうがないよ、予約が必要なのは決まりなんだし。
ちょっと早いけど、お昼にしようか?」
家からゆっくり歩いてきたおかげで、時間帯的にはお昼前くらいになっていた。
しかし、ちさとには僕の声が届いていないようで、階段の上の建物を見つめたままだった。
不平を漏らし足りないと言いたげな顔つきで。
腕を引こうとしても、その場に足がへばりついているようで、一歩も動いてくれない。
僕としては乗り気じゃなかったから、実は少し安心してたんだけど。
…困った。
そこで、ちさとの表情に明かりが灯った。
例の見えない電球が、「ぴこーん」という安っぽい効果音とともに現れる。
何で顔隠してるの??」
…苦い思い出を反芻してました、はい。
するとちさとは「てりゃー」と間の抜けた掛け声をもらしながら、
僕の顔を覆っている手を剥がそうと、指を一本ずつ引っぱる。
けれど離れた指は、他の指を相手にしているうちに元の位置に戻ってしまうので、
ちさとは諦め階段の上を見上げた。
「はぁーあ~~~。
式場の人、ケチ」
頬を膨らましながら、口を尖らす。
「しょうがないよ、予約が必要なのは決まりなんだし。
ちょっと早いけど、お昼にしようか?」
家からゆっくり歩いてきたおかげで、時間帯的にはお昼前くらいになっていた。
しかし、ちさとには僕の声が届いていないようで、階段の上の建物を見つめたままだった。
不平を漏らし足りないと言いたげな顔つきで。
腕を引こうとしても、その場に足がへばりついているようで、一歩も動いてくれない。
僕としては乗り気じゃなかったから、実は少し安心してたんだけど。
…困った。
そこで、ちさとの表情に明かりが灯った。
例の見えない電球が、「ぴこーん」という安っぽい効果音とともに現れる。