僕らのままで
ありがとう──Side 美亜
*side 美亜*

「え…────」


 息ができない。


 何も見えない。
 何も聞こえない。


 すきだ、って。


 哲が?


 あたしのことを?


 うそ。
 嘘だよ。


 そんなこと、あるはず無いじゃん…───



「ホントだよ」
 哲が言った。
「嘘じゃねーよ…」


 あたしは、何も答えられなかった。ただ、哲を見つめた。

 怒りが、スウッと引いていく。

 代わりに、混乱があたしを襲った。



「一生懸命なお前が…ありのままのお前が、好きだ…」


 紅葉が、はらはらと散る。



「好きだよ、美亜…」


 何度も、何度も繰り返す哲。


「い…いつから…そんな…」
 あたしは、まともに喋ることすら出来ない。

 哲に。
 哲に告白された…。


「中学の卒業式から」

 哲が答えた。

「ずっと。ずっと好きだった」

 近くで、仲間たちがワイワイとバーベキューを楽しんでいるのが聞こえる。

 けれど、それはまるで別世界の出来事。
ずっと遠くから聞こえてくる音。
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