僕らのままで
──確かに、アクセサリーが流されちゃったのは、残念なことだった。
だけど…だからって、涼クンがそんなことしなくてもいいのに…。
彼のオレンジ色のTシャツ姿は、どんどん遠ざかっていく。決してたくましくはない背中。
光をキラキラと反射する湖面に、飲み込まれていく彼の背中。
見ていて、不安で不安で堪らなくなる。
「涼くーん!」
声を限りに呼ぶけれど、涼クンは止まってくれない。聞こえてるのかさえ、わからない。
もう、彼の背中は半分以上水に吸い込まれてしまった。
怖い。
怖いよ、涼クン。
このまま、涼クンが見えなくなっちゃったら──私、どうすればいいの。
アクセサリーなんて、どうでもいいよ。そんなことより、私をこれ以上怖がらせないで。
すると、ふっと彼がこっちを振り向いた。
くしゃっとした表情。
遠くからでも見えるのは、泣きだしそうな瞳。
「ごめーん。…とれなかった…!!」
こちらに向かって叫ぶ、涼クンの声。
パシャン、と少し強めに打ち寄せる波の音。
そのコントラストが、妙に私の気持ちをかき乱した。
締め付けられるような、それでいてくすぐったいような。そんな感覚が、心臓から血管を伝って、全身へと運ばれていく。
「戻って…きて…」
叫ぶつもりだった私の声は、擦れて自分でも聞き取りにくい。
だけど…だからって、涼クンがそんなことしなくてもいいのに…。
彼のオレンジ色のTシャツ姿は、どんどん遠ざかっていく。決してたくましくはない背中。
光をキラキラと反射する湖面に、飲み込まれていく彼の背中。
見ていて、不安で不安で堪らなくなる。
「涼くーん!」
声を限りに呼ぶけれど、涼クンは止まってくれない。聞こえてるのかさえ、わからない。
もう、彼の背中は半分以上水に吸い込まれてしまった。
怖い。
怖いよ、涼クン。
このまま、涼クンが見えなくなっちゃったら──私、どうすればいいの。
アクセサリーなんて、どうでもいいよ。そんなことより、私をこれ以上怖がらせないで。
すると、ふっと彼がこっちを振り向いた。
くしゃっとした表情。
遠くからでも見えるのは、泣きだしそうな瞳。
「ごめーん。…とれなかった…!!」
こちらに向かって叫ぶ、涼クンの声。
パシャン、と少し強めに打ち寄せる波の音。
そのコントラストが、妙に私の気持ちをかき乱した。
締め付けられるような、それでいてくすぐったいような。そんな感覚が、心臓から血管を伝って、全身へと運ばれていく。
「戻って…きて…」
叫ぶつもりだった私の声は、擦れて自分でも聞き取りにくい。